チンチラがよくなる体調不良のひとつとして挙げられるのが
「脱毛」
です。
チンチラは1本の毛穴から60~70本前後の毛が生えており、その触り心地はもふもふ。
その毛が一部抜けて地肌が見えてしまうという事は、何かしらのトラブルと言えます。
チンチラの病気のひとつで多いのが「脱毛」を伴うものです。
歯と同じか、場合によっては歯のトラブルより多い可能性もあるかもしれません。そこで今回は「脱毛」の理由などを写真付きで分かりやすく解説します。#よっこいぶろぐ #チンチラ
— ✨おじょうさま(インスタ開始!)✨ (@Ojy0_) August 10, 2020
そこで今回は、チンチラが脱毛してしまった時の原因は?写真付きで詳しく解説!と題しまして、
チンチラの脱毛(毛が抜ける)の原因となる皮膚病等を詳しく解説していきたいと思います。
今回の記事をかくにあたって、私のインスタグラムのフォロワーさんにかなりご協力をいただき、写真や病気にかかったときの資料などをたくさんいただくことが出来ました。リンクやお名前を掲載してもいいと許可をいただいた子に関してはインスタグラムのアカウントをご紹介させていただいております。
病気を克服された、または現在の治療中の様子をインスタからも見る事が出来たり交流のチャンスとなりますので、是非そちらもご覧くださいね。
原因1:ファースリップ(ヘアスリップ)
まずは、ファースリップです。チンチラは臆病な性格ですし、そもそも捕食される側の動物です。
例えば飼い主が急にチンチラを鷲掴みにしたり、飼育しているほかのチンチラに噛まれるなどの乱暴をされたり、チンチラを誤って踏んでしまったりと、チンチラにとって急激に怖い!と思うことがあると、ごっそり毛が抜けてしまうことがあります。
この現象をファースリップ(Fur slip)、またはヘアスリップと呼びます。
一部原因として、敵から逃亡するための手段として、トカゲのしっぽ切りのように、毛だけを置いて自分が逃げ出すからではないか、とか神経や内分泌のバランスが急に乱れて抜けるのではないか、と言われています。明確なメカニズムは不明ですが、少なくとも急激なストレス時に多く見られる症状のようです。
症例1:脱走を捕獲しようとした
まずは、1例目です。
この子は飼い主さんが寝ている間にケージから脱走しようと試みていたのですが、そこにたまたま居合わせた飼い主さんの親戚の方が慌てて捕まえようとしたそうです。
今まで飼い主さんはチンチラが脱走したときは声かけをしながら、チンチラの視界に入るように飼い主さん自身が入って、びっくりさせないように注意して捕まえていたのですが、たまたまその知識のない親戚の方が慌てた拍子にガッと上から捕まえてしまうという事件が発生。
その瞬間・・・
ぽかりちゃん
毛が一部薄くなっていますね。
ブラッシングをしたときに抜けた毛がこんなにあったようです。
治療方法
自然治癒
現在はこのようにだんだんと生えてきたようで、飼い主さんも一安心のようです。
もし、親戚や友達が家に来る場合は、事前にチンチラが臆病であることなどの予備知識を話しておくことで防げるかもしれませんね。
症例2:部屋んぽ中の急な動きに対応できず・・・
2例目はどのチンチラ飼いの人も一度はヒヤッとしたことがあるのではないでしょうか?
「部屋んぽ中の突進」によるトラブルです。
部屋んぽ中に飼い主さんの足元に突然突進してきてしまったチンチラさん。あまりにも急だったため、飼い主さんがチンチラさんを踏んづけてしまいました。
(実は私もチンチラの足を踏んづけてしまった経験があります。皆さん気を付けて!!)
その結果・・・
手前に見えている足の上の毛が薄くなっていますよね?ここがごっそり抜けてしまいました。
抜けた毛がこちら。
髪飾りくらいの毛がごっそり!!これはびっくり!!
治療方法
自然治癒(生えそろうまでに約3か月)
幸い怪我はなかったようですが、びっくりしたのかちょっと踏まれて痛かったのか、10分くらい茫然としていたとのこと。抜けた毛はしっかり毛根がついており、根こそぎ抜けてしまった感じに見えたのだとか。これは飼い主さん驚いたでしょうね。
この事故はチンチラを飼育していると起こりがちです。ぼーっとしていると思ったら急に突進なんてよくある話です。皆さんも気を付けましょう!!
原因2:毛咬み・毛むしり
続いて毛咬み・毛むしりです。理由は様々ありますが、自分でむしる場合もあれば、同居のチンチラさんにむしられたり咬まれるというパターンも。
しかし、あまりにも毛を咬んだりむしりすぎると脱毛症にもなってしまいます。
お迎えしたばかりで過剰に接触をしてしまったり、同居のペットとの距離が近くて警戒してしまったり、何かが付着してそれが気になっているうちにむしるのが癖になってしまったりといろいろな原因があります。
主に肩甲骨付近や手足、お腹の横あたりなど、自分で噛みやすい場所にできやすいです。
毛咬みをするチンチラのうち副腎や甲状腺といった臓器の機能異常が多くみられることがあります。相互の原因は不明とされていますが、もしもストレスを緩和してあげていたり、お薬をあげているはずなのに毛咬みをやめなかったり回復状況が良くない場合、別の原因が見つかる場合もありますので、病院にて相談してみましょう。
症例:食べるおもちゃを与えた後に・・・
牧草などを固めてかじるように作られたおやつ兼おもちゃのような商品がありますよね?
たまたまその商品をあげたところ、うまく食べられなかったのか手にカスが残ってしまいました。
そのカスが皮膚を刺激してしまったのか、気になってしまったチンチラさんが毛を舐めたりむしってしまったようです。その結果手に湿疹ができてしまったというケースがありました。
それがこちらです。
かなり手がかわいそうなことになってしまいました・・・。
治療方法
抗生物質を2週間程度水に混ぜて飲ませる
その抗生物質がこちら。 続きを見る
シリンジに入れて強制給餌のように服用させました。
強制給餌のやり方はこちらをご参照ください。
【実体験】チンチラの強制給餌のやり方は?写真付きでコツを伝授!
この子は2週間程度で回復したそうで、現在は元気に生活しています。
原因3:ストレス
続いてストレスです。
先ほどの毛咬みや毛むしりでは自分から毛を抜いてしまうパターンでしたが、痒がっていないのに、勝手に抜けてしまうパターンもあります。
症例:お迎えのストレスで・・・
続いてはお迎えして間もないころのストレスが原因とされている脱毛です。
当時飼い主さんはチンチラさんをお迎えして間もないころに鼻のあたりの毛が円形にだんだんと脱毛していくのを見つけて様子を見ていました。
が、しかし一週間程度たつと、脱毛はいよいよ進み・・・
このように目立つようになってしまいました。
治療方法
自然治癒(生えそろうまでに約1か月)
飼い主さんが獣医の知り合いに相談したところ、なにか病気ではなく、ストレスであろうという事で経過観察をしたところ、何事もなく1か月程度で生えそろってき手一安心。
やはりチンチラさんは個体差ありますが、お迎えや引っ越し時のストレスで脱毛になるパターンもあります。
また、新しい家族が増えたり環境がガラッと変わったときにも起きることがありますので、チンチラさんの様子をしっかり観察してあげてくださいね。
原因4:怪我
続いての理由は怪我です。人間でもそうですが、どこか転んでしまい怪我をしてしまうなどがあると、回復するまで毛が生えないことがありますよね?
それはチンチラさんもある事なのですが、ここからもっと重大な皮膚病につながることもありますので、病院の受診をおすすめします。
症例:脱走防止の柵が理由で・・・
チンチラは部屋んぽするときに、いろいろなものの隙間に入るため、柵やバリケードを用意しているご家庭もあると思います。そんなときの事故でした。
最初は自分で毛をむしってしまったのかも、と思っていた飼い主さん。
ストレスなのか何なのか・・・原因を突き止めるために病院へ行ったところ、なんと怪我が発覚!
実は、柵から脱走を試みようとして、柵同士をつなぎ合わせていた結束バンドに引っかかってしまったのが原因だったのです。
その怪我の様子がこちら。
とても痛そうですね。
治療方法
抗生剤(飲み薬)を2週間投与(通院3回)
結果として現在は元気になったようですが、自作の柵で脱走防止をしているご家庭も多いと思いますし、結束バンド(インシュロック)を使っているご家庭も多いですよね。
大変便利なのですが、結束バンドを使う時にはしっかりとやすったりして角を取ったり、チンチラが触れられないところに使うなど工夫が必要です。
この飼い主さんは現在結束バンドをすべて外し、安全なものに付け替えて再発防止をこころがけているそうです。
原因5:皮膚糸状菌症(真菌症)
そしてこれが一番多かった!!「真菌症」とよばれるカビが原因の脱毛です。
チンチラの皮膚病と言えばこれが大半なんじゃないかというくらい多い病気になります。
皮膚に感染してしまうカビ(皮膚糸状菌・真菌)に感染して起こります。その中でもTrichophyton mentagrophytesと呼ばれる白癬菌(はくせんきん)によるものが多く、人間に感染する可能性もあります。
もともと真菌などは土壌などの環境下で常在しているものなので、症状のないチンチラさんからも検出されることもある菌です。
通常だとカビに負けずに生活するのですが、子供のチンチラやストレスがかかっている子だったり、免疫力が下がっているときに症状として出てきやすい傾向にあります。
主に目・鼻・口・耳周り、脚などに脱毛やフケなどが見られますが、進行すると、炎症により赤みがかってさらに目立つようになります。
症例1:1か所治ったらまた1か所、気付けば半年間の治療
まずは、全治半年かかってしまったケースです。
最初は耳に感染が確認されたのですが、
目の上も感染してしまい、このあと後ろ足も脱毛が確認され・・・としばらくいたちごっこだったそうです。
治療方法
塗り薬(1か所3週間程度で治癒・換毛期までは毛は生えてこず)
ペットショップ内で別の子から菌をもらっていて、赤ちゃんのため抵抗力が低かったうえに、環境変化(引っ越しなど)のストレスで発症してしまったとの診断結果でした。
いろいろと工夫をして再発を防止していたとのことでしたが、菌が付着していた箇所が思ったより多く、ふたを開ければ半年の闘病となってしまいました。しかし、飼い主さんとチンチラの二人三脚で頑張って治療を完了!
きちんと病院に通えば必ず治るという事を証明してくれたと飼い主さんはインタビューでおっしゃっていました。
負けずに継続して治療することが近道です。
症例2:一匹が持っていたらもう一匹もうつった!
続いては感染拡大のケースです。
チンチラを2匹飼育している方のケースなのですが、お迎えしたチンチラのうち1匹がペットショップ時代から真菌を持っていたらしく・・・
それがもう1匹にも感染してしまい、2匹とも治療となりました。
その写真がこちら。
確かに、かなり毛が無くなっているように見えますね。
もう一匹の子は症状が軽かったのですが、こちらの子はかなり大変だったそうです。
治療方法
飲み薬(3か月近くかかった)
かなりしぶとかったようで、3か月近く頑張って薬を飲ませ続けて治療に励まれました。チンチラさんだけでなく、飼い主さんも頑張って今の元気があるので、継続することが大事ですね!
症例3:感染から1か月半程度で目に見えてわかるように
続いてもペットショップ時代から感染していたと思われる子です。
お迎えしてから1か月半が経過したころから、鼻先が少しハゲているような、どうしたんだろう?と疑問に思ってはいたのですが・・・。
その後数日でみるみるうちにカサカサと脱毛部分が広がりを見せてしまったそうです。
それがこちら。
確かに横から見てもお鼻の部分に毛がない・・・!!
しかも痒かったのかストレスだったのか、当時この子は右側のひげをほとんど自分で抜いてしまったのだとか。
治療方法
塗り薬(ケトコナゾールクリム ニゾラール 外用抗真菌剤)
朝晩2回塗布(2か月間)
飼い主さんは心を鬼にして抱っこして塗っていたのですが、その期間はとてもしんどかったと振り返られていました。チンチラさんも飼い主さんもストレスになる内容ですが、無事に完治してよかったなと思います。
こちらもお迎えしてからの環境変化なども理由としてあると思いますが、大変だったことがうかがい知れます。
症例4:ほかの病気にかかり抵抗力がなく・・・
続いては、ほかの病気にかかっていたことにより、菌にやられてしまったパターンです。
次にご紹介するチンチラさんは、最初うっ滞(消化管の運動が鈍くなったり停止してしまい、さらに進行するとお腹が張ってきてしまう病気)にかかっていたのです。うんちの量が少なく目の周りも濡れて調子が悪く、しまいに食べなくなってしまい元気を失ってしまいました。
そして、そのうっ滞により抵抗力が落ちていたのか、鼻の上に脱毛も確認。「カビによるハゲ(真菌)」と診断され、皮膚の治療も余儀なくされました。
それがこちら。
かなり目立つ脱毛ですね。
この飼い主さんはありがたいことに写真に日付を入れてくださっているので、この後の治療の様子を掲載させていただきます(一部抜粋)
このあたりになるとかなり良くなってきましたね。
もう完全に元気になったように見えますね。良かったです。
治療方法
先にうっ滞の治療・・・点滴を2日に一回・飲み薬を朝晩、4度ほどの通院で改善
その後鼻の治療・・・飲み薬を毎日朝晩。粉薬を水で溶かしシリンジで(3週間)
その間にも1週間に1度先生に診察してもらう
この子はほかの病気もあったので治療が大変でしたが、しっかりと両方治癒したので安心でした。
うちの子も風邪になったことがあったので、その時に脱毛もしていたらめげそうになっただろうなと思います。
しかし、しっかりとした治療を続ければ確実に治る病気なので根気強さが大事ですね。
症例5:飼い主さんは一生懸命お世話していたのに・・・
最後の症例は、ケージの掃除なども一生懸命やっていたのに発症してしまったというパターンです。
太股の付け根辺りの脱毛と鼻をいつも以上に掻いていることに飼い主さんが気づき、様子を見ていたそうです。また、鼻と口の間に乾燥が見られ、脱毛部分も乾燥しフケのようなものが出てきて目立ちだしました。しかし、食欲やトイレ等は問題がなかったし、脱毛部分には痛みも痒みも無かったのでそこだけは救いだったかもしれません。
その後、脱毛に気付いてから4日後に病院へ行きました。その間には鼻を痒がるようにはなりましたが、脱毛部分はだんだん毛がはえてくるなど改善が見られていたそうです。
最初のころの写真がこちら。
確かに太ももも鼻や口まわりも気になりますね。
その後、1週間くらいして・・・
改善が見られました。
かなり改善が見られました!良かったです。
治療方法
テルビナフィン0.2mlを決められた時間に1日一回注射器で口からあげる。
一週間くらいで痒みが治まり、乾燥も改善、投薬から20日目で太ももに毛が、鼻はフケ・乾燥も消滅
取材当時まだ治療を継続中ですが、かなり改善が見られ、完治まであと少し。
2か所の関連性は不明ですし、どうして感染したのかも不明です。ですが、これは人間でもあり得ることです。例えば、寝不足や自分が気づかないうちのストレスなどを抱えて一瞬免疫力や抵抗力が下がってしまい風邪を引いたなんてこと、経験ありませんか?なので、感染するときはする、という考えでいましょう。
確かに、しっかり頑張ってお世話をしていたのに感染した、となるとかなり落ち込みますよね。
でも、誰しもがかかる可能性のあるものですし、落ち込むのは仕方ないですが、治療に前向きになることも大事です。
いつか来る完治への道をしっかり歩み続けることが大事ですね。
もしも真菌症にかかってしまったら・・・
真菌症はかなりしぶといカビ菌です。
そのため、飼い主さんは獣医さんにいろいろと指示されて、感染の拡大を防いでいました。
その一例をご紹介します。
獣医さんによってかなりおっしゃることが変わってくると思いますが、参考知識として覚えておくといいと思います。
とにかく清潔第一!ですよ。
ポイント
- ケージ・ハウスを週に1回程度次亜塩素酸を薄めたもので丸洗い
- 砂は毎回新品に入れ替える(お風呂も丸洗い)
- ケージをハイターで丸洗い
- 布製品を何から何まですべて捨てる(ラグまで捨てる)
- 木製のものは全て廃棄。(真菌症はキノコの一種なので木に根付くと説明があった)
- ケージを毎日お酢と水を混ぜたもので掃除する
- 餌、水、砂は全て毎日変える(砂に小さじ半ほどの硫黄を混ぜて砂浴びを毎日)
なるほど、今あるものを捨てたり、ケージの丁寧な掃除は必須ですね。
かかりつけの獣医さんの言う事を聞くのが一番ですが、これだけ徹底しないと死滅しない菌というのもすごいですよね・・・。
みなさんも万が一自分の子が真菌症だと言われたら、こういう事をするんだという予備知識を持っておくと、早期完治が見込めるかもしれませんので、チェックしておきましょう!
最後に
いかがだったでしょうか。
たくさんのお友達が今回資料をくださったおかげでかなり良いぺージに仕上がったと思います。
本当にご協力いただいた方、ありがとうございました!
チンチラさんを正しく診てくださる獣医さんは少ないのが現状のため、このブログがきっかけで正しい治療ができるようになればいいなと思いました。
私もうちの子がもしも何か病気にかかってしまったら、その時は必ず共有させていただきますね。
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チンチラの病院への連れていき方【最小限のストレス】
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それでは今回はこれで終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。